ドクター谷口の「セイフティ・セックス講座」
カンジダをきたす3つの要因 その1
性感染症について書物やインターネットを使って調べると、必ず「カンジダ」という文字がでてきます。けれども、「カンジダ」が実際に性感染症である場合というのは、私の印象で言えばごくわずかです。性感染症ではなく、他の原因でカンジダが発症していることが、特に女性の場合は大半であろうと感じています。実際に処女の女性がカンジダで医療機関を受診することも珍しくはありません。
今回は、カンジダという感染症は、実際のところ、どのように発症しているかについてお話したいと思います。
しかしその前に、「カンジダ」とは何者でどのような症状をもたらすのかについて確認しておきたいと思います。
カンジダは生物学的には真菌に属します。真菌というのはひらたく言えば「カビ」のことです。つまり、カンジダはカビの一種だというわけです。
よく言われるように、カンジダに罹患すると、女性の場合、おりもの(帯下)に異常がでます。「酒かす様」、「チーズ状」などと表現されることがありますが、これらはある程度重症化した場合です。初期であれば、「なんとなくおりものが多い」「おりものの性質がいつもと違うような気がする」くらいであることが多いと言えるでしょう。また、診察するとそれなりに重症であるのにもかかわらず、患者さんは「無症状」のこともあります。
おりものの異常よりも痒み(かゆみ)が先に現れる場合もあります。この場合も、初期は「なんとなく痒い」程度であって、ある程度病状が進行しないとはっきりとした痒みは出ません。また、「痒み」ではなく「痛み」あるいは「痛がゆい」と言う人もいます。
おりものの異常、痒み(痛み)のどちらが強くでるかは、カンジダが主にどこを主として発症するかによります。外陰部がメインなら痒みや痛みから始まりますし、腟内に発症すれば、まずはおりものの異常から始まることが多いと言えるでしょう。外陰部と腟内のどちらが多いかを比べると、やはり腟内で先に発症するケースの方が多いと言えます。カンジダはカビの一種ですから、よりジメっとした腟内の環境の方を好むのです。腟内で発症したカンジダが広がって外陰部にまでやってきて、それで痒みがでてくる、というのがよくあるパターンです。
他の性感染症、例えば淋病やクラミジアといった感染症に比べると、カンジダは重症化することは普通ありませんし、飲み薬を使わなくても大半は腟錠と塗り薬で治ります。ときどき、どうしても腟錠を使えないという人がいて、そのような人には飲み薬を使うこともあります。ただし、飲み薬は全身に作用しますから胃がむかつくといった副作用が起こることもありますし、また一般にカビの飲み薬は値段が高いですから、できるだけ腟錠と塗り薬だけでの治療を考えます。また、軽症であれば何もしなくても自然に治ることもあります。
ところで、「カンジダが治る」とはどういうことでしょうか。
カンジダが治るというのは、腟と外陰部に存在するカンジダ菌が全滅することじゃないの・・・。このように考える人もいるでしょうが、これは正しくありません。なぜなら、カンジダという菌(真菌)は、いわゆる「常在菌」だからです。
「常在菌」というのは、どんな人も少しは持っている菌(真菌)のことです。一般に、細菌や真菌というのはすべてが"悪"というわけではありません。例えば、腸内に存在している常在菌は100種類以上、数で表すと100兆個以上にもなると言われています。これらは「善玉菌」と呼ばれ、悪い菌が繁殖できないように幅を利かせているばかりか、消化吸収の手助けもしてくれます。つまり、人間にとっても腸内の善玉菌は必要な細菌であり人と細菌が助け合って「共存」していると言えるわけです。
前回のコラムで紹介しました腟内の乳酸桿菌(デーデルライン桿菌)も腟内に居座ることにより悪い菌の侵入を防いでくれています。ですからこの菌も「善玉菌」と呼ばれるわけです。
一方、カンジダの場合は人間と助け合っているわけではないかもしれませんが「共存」はしています。カンジダと聞くと、外陰部もしくは腟のカンジダ症が最も有名ですが、実はカンジダは体表ならどこにでもいる可能性があります。入院中でお風呂に入れない患者さんの体にカビが生えることがときどきあり、そのカビの正体は水虫で有名な白癬菌であることが多いのですが、カンジダ性の皮膚炎もあります。また、爪の真菌症と言えば、爪の水虫(爪白癬)が最も有名ですが、カンジダが爪で増殖することもあります。
カンジダは口角や口の中に感染することもあります。特にステロイドを内服していたり、喘息などで吸入していたりすれば口の中にカンジダが出現することは珍しくありません。
さて、以上を踏まえると「カンジダが治る」ということは、外陰部や腟内のカンジダ菌が全滅することではないということがお分かりいただけると思います。つまり、外陰部や腟内に少しくらいカンジダ菌が生息していたとしても、それだけで直ちに痒みやおりものの異常が出現するわけではありませんし、ほんの少しでも存在すれば必ず治療しなければならないというわけではありません。
前回のコラムで"雑菌"による腟炎や子宮頚管炎は、"雑菌"が存在するかどうかではなく量と炎症の程度で決まる、というお話をしましたが、カンジダもこの場合と似ています。要するに程度の問題であるというわけです。
<続きはコチラ>
今回は、カンジダという感染症は、実際のところ、どのように発症しているかについてお話したいと思います。
しかしその前に、「カンジダ」とは何者でどのような症状をもたらすのかについて確認しておきたいと思います。
カンジダは生物学的には真菌に属します。真菌というのはひらたく言えば「カビ」のことです。つまり、カンジダはカビの一種だというわけです。
よく言われるように、カンジダに罹患すると、女性の場合、おりもの(帯下)に異常がでます。「酒かす様」、「チーズ状」などと表現されることがありますが、これらはある程度重症化した場合です。初期であれば、「なんとなくおりものが多い」「おりものの性質がいつもと違うような気がする」くらいであることが多いと言えるでしょう。また、診察するとそれなりに重症であるのにもかかわらず、患者さんは「無症状」のこともあります。
おりものの異常よりも痒み(かゆみ)が先に現れる場合もあります。この場合も、初期は「なんとなく痒い」程度であって、ある程度病状が進行しないとはっきりとした痒みは出ません。また、「痒み」ではなく「痛み」あるいは「痛がゆい」と言う人もいます。
おりものの異常、痒み(痛み)のどちらが強くでるかは、カンジダが主にどこを主として発症するかによります。外陰部がメインなら痒みや痛みから始まりますし、腟内に発症すれば、まずはおりものの異常から始まることが多いと言えるでしょう。外陰部と腟内のどちらが多いかを比べると、やはり腟内で先に発症するケースの方が多いと言えます。カンジダはカビの一種ですから、よりジメっとした腟内の環境の方を好むのです。腟内で発症したカンジダが広がって外陰部にまでやってきて、それで痒みがでてくる、というのがよくあるパターンです。
他の性感染症、例えば淋病やクラミジアといった感染症に比べると、カンジダは重症化することは普通ありませんし、飲み薬を使わなくても大半は腟錠と塗り薬で治ります。ときどき、どうしても腟錠を使えないという人がいて、そのような人には飲み薬を使うこともあります。ただし、飲み薬は全身に作用しますから胃がむかつくといった副作用が起こることもありますし、また一般にカビの飲み薬は値段が高いですから、できるだけ腟錠と塗り薬だけでの治療を考えます。また、軽症であれば何もしなくても自然に治ることもあります。
ところで、「カンジダが治る」とはどういうことでしょうか。
カンジダが治るというのは、腟と外陰部に存在するカンジダ菌が全滅することじゃないの・・・。このように考える人もいるでしょうが、これは正しくありません。なぜなら、カンジダという菌(真菌)は、いわゆる「常在菌」だからです。
「常在菌」というのは、どんな人も少しは持っている菌(真菌)のことです。一般に、細菌や真菌というのはすべてが"悪"というわけではありません。例えば、腸内に存在している常在菌は100種類以上、数で表すと100兆個以上にもなると言われています。これらは「善玉菌」と呼ばれ、悪い菌が繁殖できないように幅を利かせているばかりか、消化吸収の手助けもしてくれます。つまり、人間にとっても腸内の善玉菌は必要な細菌であり人と細菌が助け合って「共存」していると言えるわけです。
前回のコラムで紹介しました腟内の乳酸桿菌(デーデルライン桿菌)も腟内に居座ることにより悪い菌の侵入を防いでくれています。ですからこの菌も「善玉菌」と呼ばれるわけです。
一方、カンジダの場合は人間と助け合っているわけではないかもしれませんが「共存」はしています。カンジダと聞くと、外陰部もしくは腟のカンジダ症が最も有名ですが、実はカンジダは体表ならどこにでもいる可能性があります。入院中でお風呂に入れない患者さんの体にカビが生えることがときどきあり、そのカビの正体は水虫で有名な白癬菌であることが多いのですが、カンジダ性の皮膚炎もあります。また、爪の真菌症と言えば、爪の水虫(爪白癬)が最も有名ですが、カンジダが爪で増殖することもあります。
カンジダは口角や口の中に感染することもあります。特にステロイドを内服していたり、喘息などで吸入していたりすれば口の中にカンジダが出現することは珍しくありません。
さて、以上を踏まえると「カンジダが治る」ということは、外陰部や腟内のカンジダ菌が全滅することではないということがお分かりいただけると思います。つまり、外陰部や腟内に少しくらいカンジダ菌が生息していたとしても、それだけで直ちに痒みやおりものの異常が出現するわけではありませんし、ほんの少しでも存在すれば必ず治療しなければならないというわけではありません。
前回のコラムで"雑菌"による腟炎や子宮頚管炎は、"雑菌"が存在するかどうかではなく量と炎症の程度で決まる、というお話をしましたが、カンジダもこの場合と似ています。要するに程度の問題であるというわけです。
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