ドクター谷口の「セイフティ・セックス講座」
カンジダをきたす3つの要因 その2
カンジダがどのように発症するかについてみていきましょう。
まず、カンジダの発症の原因として最も多いのが、「免疫力の低下」です。これは「抵抗力の低下」と言われることもあり、要するに体が弱っていることを意味します。人間は健康であれば少々病原体が侵入してきても自らの免疫力でその病原体をやっつけることができます。しかし、何らかの理由でその免疫力が損なわれれば、普通であればやっつけることのできる病原体に、逆にやられてしまうことがあるのです。
カンジダの場合、常在菌であり一定量以上は仲間を増やすことがないのですが、これは人間には免疫力があるからです。つまり、カンジダが仲間を一定量以上に増やしかけると人間の免疫力がそれにストップをかけるというわけです。
ところがその免疫力(抵抗力)が損なわれると、カンジダとしては敵(人間)が弱ったことに気づいて仲間を増やしていくわけです。これが病気としての「カンジダ症」ということになります。
前回も述べましたが、カンジダは腟や外陰部が最も有名ですが、皮膚(体表)や口角、口腔内、陰茎、肛門粘膜など様々なところに感染します。エイズなどで免疫力が極端に下がった場合は、食道や肺、さらに血流に乗って全身に感染することもあります。
では、どういうときに免疫力が低下するのでしょうか。
よくあるのが寝不足、過労、疲労などです。実際、このような状態が続いたときにカンジダが発症した経験のある人は少なくないでしょう。私が診ている患者さんのなかには、残業が続いたとき、出張が続いたとき、試験前に徹夜をしたとき、などにきまってカンジダを発症する、という人もいます。
また、精神的なストレスも要注意です。精神的ストレスは思いのほかやっかいですが、これは身に覚えのある人も少なくないでしょう。ストレスが蓄積されると風邪をひく、というのがその典型ですが、カンジダにもなりやすくなるというわけです。
このことを逆から見てみると、「カンジダを発症するということは身体もしくは精神上のトラブルがあるかもしれない」と言えるかもしれません。以前、性器ヘルペスの連載のときに、「性器ヘルペスの再発は健康状態のバロメーターになる」という話をしましたが、カンジダも同じように考えることができます。つまり、カンジダが発症した場合、身体及び精神上に何か問題を抱えていないかどうか見直すべき、と考えられるというわけです。
カンジダが発症する2つめの理由は「抗生物質の内服」です。腟の中にはデーデルライン桿菌などの善玉菌が存在しているのが普通ですし、危険な性交渉の結果、淋菌やクラミジアに感染することもあります。また、以前紹介しましたように、いわゆる"雑菌"がたくさん生息していることもあります。
淋菌やクラミジア感染、さらに好ましくない"雑菌"がいたときには抗生物質を使います。軽度の"雑菌"による腟炎や子宮頚管炎であれば、抗生物質入りの腟錠を用います。ある程度重症化していれば飲み薬を使うこともあります。また、淋菌やクラミジアの場合は、腟錠では治りませんから、初めから飲み薬を使います。あまりにも重症であれば点滴をおこなうこともあります。
抗生物質は細菌をやっつける薬ですが、ターゲットにした菌だけをやっつけるわけではありません。例えば、クラミジア感染が発覚し、クラミジアをやっつけることのできる抗生物質を飲んだとしましょう。すると、その抗生物質はクラミジアだけでなく体内に生息する他の細菌も殺すことになります。
よく抗生物質を飲むと下痢をするのは、その抗生物質によって腸内の善玉菌まで死滅するからです。腸内の消化吸収には善玉菌の存在が不可欠であり、善玉菌が少なくなると下痢をしてしまうのです。ですから、どんな抗生物質(内服の場合)であれ、副作用としての下痢は起こることがあるのです。
抗生物質は腟内の細菌もやっつけます。クラミジアを治すことを目的に抗生物質を飲んだときクラミジアだけでなく、他の好ましくない"雑菌"もやっつけてくれます。これだけを考えると悪くないのですが、同時に善玉菌も死滅します。腟内の細菌がいいものも悪いものも死滅した結果何が起こるか・・・。カンジダが増殖するのです。
いいものも悪いものも含めて細菌が腟内を占領していると、カンジダは増殖したくてもできません。細菌が占領している"縄張り"に勝手に入っていけないようなものです。しかし、人間が抗生物質を飲むと、腟内の細菌が次々と死んでいくわけです。するとこれまで"縄張り"を守っていた細菌が一気に減少し、そのスキをみてカンジダが"縄張り"に侵入し徐々に仲間を増やしていくというわけです。
ここでひとつ注意点を述べておきます。抗生物質を飲むのは、何も淋病やクラミジアといった性感染症のときだけではありません。細菌性の腸炎や咽頭炎でも抗生物質が必要になることはよくあります。細菌性腸炎や咽頭炎は放っておくと(無治療でいると)、高熱がでたり症状が悪化したりすることがありますから、我々医師は細菌感染を確診した場合(あるいは強く疑った場合)は、その感染症に適している抗生物質を処方します。その結果、カンジダが発症することがよくあるのです。
ですから、我々医師は抗生物質の処方は最低限にすることにつとめます。よく、「単なる風邪に抗生物質を使ってはいけない」と言われます。これは<単なる風邪>は細菌感染ではなくウイルス感染であることがほとんどですから抗生物質が効かないというのが主たる理由ですが、カンジダや下痢などの副作用を招くことを危惧するというのも理由のひとつです。
少し話がそれますが、私がカンジダの原因になっているのではないかとよく感じる抗生物質の使用は、ニキビに対しての使用です。ニキビはアクネ菌や表皮ブドウ球菌による感染症であることが多いので、ニキビに抗生物質を使用するのは有効な治療ではあるのですが、患者さんのなかには1ヶ月以上も連続して抗生物質を飲んでいる人がいます。これではいつカンジダが発症してもおかしくありません。
抗生物質の使用は最小限にすることはもちろんですが、少しの服用でカンジダがでやすい人には、あらかじめ抗生物質と一緒にカンジダの腟錠を処方することもあります。
<続きはコチラ>
まず、カンジダの発症の原因として最も多いのが、「免疫力の低下」です。これは「抵抗力の低下」と言われることもあり、要するに体が弱っていることを意味します。人間は健康であれば少々病原体が侵入してきても自らの免疫力でその病原体をやっつけることができます。しかし、何らかの理由でその免疫力が損なわれれば、普通であればやっつけることのできる病原体に、逆にやられてしまうことがあるのです。
カンジダの場合、常在菌であり一定量以上は仲間を増やすことがないのですが、これは人間には免疫力があるからです。つまり、カンジダが仲間を一定量以上に増やしかけると人間の免疫力がそれにストップをかけるというわけです。
ところがその免疫力(抵抗力)が損なわれると、カンジダとしては敵(人間)が弱ったことに気づいて仲間を増やしていくわけです。これが病気としての「カンジダ症」ということになります。
前回も述べましたが、カンジダは腟や外陰部が最も有名ですが、皮膚(体表)や口角、口腔内、陰茎、肛門粘膜など様々なところに感染します。エイズなどで免疫力が極端に下がった場合は、食道や肺、さらに血流に乗って全身に感染することもあります。
では、どういうときに免疫力が低下するのでしょうか。
よくあるのが寝不足、過労、疲労などです。実際、このような状態が続いたときにカンジダが発症した経験のある人は少なくないでしょう。私が診ている患者さんのなかには、残業が続いたとき、出張が続いたとき、試験前に徹夜をしたとき、などにきまってカンジダを発症する、という人もいます。
また、精神的なストレスも要注意です。精神的ストレスは思いのほかやっかいですが、これは身に覚えのある人も少なくないでしょう。ストレスが蓄積されると風邪をひく、というのがその典型ですが、カンジダにもなりやすくなるというわけです。
このことを逆から見てみると、「カンジダを発症するということは身体もしくは精神上のトラブルがあるかもしれない」と言えるかもしれません。以前、性器ヘルペスの連載のときに、「性器ヘルペスの再発は健康状態のバロメーターになる」という話をしましたが、カンジダも同じように考えることができます。つまり、カンジダが発症した場合、身体及び精神上に何か問題を抱えていないかどうか見直すべき、と考えられるというわけです。
カンジダが発症する2つめの理由は「抗生物質の内服」です。腟の中にはデーデルライン桿菌などの善玉菌が存在しているのが普通ですし、危険な性交渉の結果、淋菌やクラミジアに感染することもあります。また、以前紹介しましたように、いわゆる"雑菌"がたくさん生息していることもあります。
淋菌やクラミジア感染、さらに好ましくない"雑菌"がいたときには抗生物質を使います。軽度の"雑菌"による腟炎や子宮頚管炎であれば、抗生物質入りの腟錠を用います。ある程度重症化していれば飲み薬を使うこともあります。また、淋菌やクラミジアの場合は、腟錠では治りませんから、初めから飲み薬を使います。あまりにも重症であれば点滴をおこなうこともあります。
抗生物質は細菌をやっつける薬ですが、ターゲットにした菌だけをやっつけるわけではありません。例えば、クラミジア感染が発覚し、クラミジアをやっつけることのできる抗生物質を飲んだとしましょう。すると、その抗生物質はクラミジアだけでなく体内に生息する他の細菌も殺すことになります。
よく抗生物質を飲むと下痢をするのは、その抗生物質によって腸内の善玉菌まで死滅するからです。腸内の消化吸収には善玉菌の存在が不可欠であり、善玉菌が少なくなると下痢をしてしまうのです。ですから、どんな抗生物質(内服の場合)であれ、副作用としての下痢は起こることがあるのです。
抗生物質は腟内の細菌もやっつけます。クラミジアを治すことを目的に抗生物質を飲んだときクラミジアだけでなく、他の好ましくない"雑菌"もやっつけてくれます。これだけを考えると悪くないのですが、同時に善玉菌も死滅します。腟内の細菌がいいものも悪いものも死滅した結果何が起こるか・・・。カンジダが増殖するのです。
いいものも悪いものも含めて細菌が腟内を占領していると、カンジダは増殖したくてもできません。細菌が占領している"縄張り"に勝手に入っていけないようなものです。しかし、人間が抗生物質を飲むと、腟内の細菌が次々と死んでいくわけです。するとこれまで"縄張り"を守っていた細菌が一気に減少し、そのスキをみてカンジダが"縄張り"に侵入し徐々に仲間を増やしていくというわけです。
ここでひとつ注意点を述べておきます。抗生物質を飲むのは、何も淋病やクラミジアといった性感染症のときだけではありません。細菌性の腸炎や咽頭炎でも抗生物質が必要になることはよくあります。細菌性腸炎や咽頭炎は放っておくと(無治療でいると)、高熱がでたり症状が悪化したりすることがありますから、我々医師は細菌感染を確診した場合(あるいは強く疑った場合)は、その感染症に適している抗生物質を処方します。その結果、カンジダが発症することがよくあるのです。
ですから、我々医師は抗生物質の処方は最低限にすることにつとめます。よく、「単なる風邪に抗生物質を使ってはいけない」と言われます。これは<単なる風邪>は細菌感染ではなくウイルス感染であることがほとんどですから抗生物質が効かないというのが主たる理由ですが、カンジダや下痢などの副作用を招くことを危惧するというのも理由のひとつです。
少し話がそれますが、私がカンジダの原因になっているのではないかとよく感じる抗生物質の使用は、ニキビに対しての使用です。ニキビはアクネ菌や表皮ブドウ球菌による感染症であることが多いので、ニキビに抗生物質を使用するのは有効な治療ではあるのですが、患者さんのなかには1ヶ月以上も連続して抗生物質を飲んでいる人がいます。これではいつカンジダが発症してもおかしくありません。
抗生物質の使用は最小限にすることはもちろんですが、少しの服用でカンジダがでやすい人には、あらかじめ抗生物質と一緒にカンジダの腟錠を処方することもあります。
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