法律に関して

法律に関するお話

no1

セックスワーカー自身にとって、もっとも関係の深い法律は、「売春防止法」(通称「売防法」昭和31年5月24日制定)だろう。
 赤線で働く女たちの組合が全国的な反対運動を展開したが、その声を封殺する形で神近市子などの女性議員が中心となって制定。
 売春とは「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交すること」と定義される(第2条)。この場合の「性交」は性器同士の挿入行為を指すため、男性同士、女性同士の性行為は含まれない。
 したがって、不特定でなければならないため、金品授受のある性交であっても、愛人関係はこの法律の適用外となる。
 また、芸者やホステスなどが、特定多数の客と金品授受のある性交することも適用外。
 また、男が売春、女が買春側であっても、売春は成立し、売り専ボーイ、出張ホストによる女性客相手の性交は対象となる。
 しかしながら、もっぱら管理売春を処罰する法律であり、ただ働いているだけでセックスワーカー自身が処罰されることはない。
 また、売春、買春ともに禁止しながら、買春行為および単純売春(管理されない個人の売春)には処罰規定がないため、不特定多数が相手であっても、個人対個人の間で成立する売春は処罰されない。
 ただし、第5条の「勧誘」により、売春婦(夫)自身が路上で、あるいはインターネットなどで客を勧誘することは処罰対象となり、事実、出会い系での援交の宣伝行為によって逮捕された例がある。
 ソープランドが摘発されにくいのは、客とソープ嬢による単純売春という建前になっているため。
 客の証言や店がその事実を把握していたことを立証する必要があるため、摘発までに手間がかかるのは事実。
 摘発されるケースでは、講習において本番行為があったことを証拠にされることが多い。

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no2

 売防法違反の立件は手間がかかるため、風俗店がもっとも摘発される罪状は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(通称「風俗営業法」「風営法」「風適法」昭和23年7月10日制定)違反。
 これは接客を伴う飲食店(キャバレー、バー、ナイトクラブ、ダンスホールなど)、ギャンブル性のある店(雀荘、パチンコ屋、スロット屋など)、性風俗関連特殊営業を取り締まる法律。
 性風俗関連特殊営業は「店舗型性風俗特殊営業」「無店舗型性風俗特殊営業」「映像送信型性風俗特殊営業」「店舗型電話異性紹介営業」「無店舗型電話異性紹介営業」からなる。
 「店舗型性風俗特殊営業」はソープランド(1号)、ファッション・ヘルスなどの個室マッサージ(2号)、ストリップ劇場(3号)、ラブホテル(4号)、アダルト・ショップ(5号)、ほか(6号)の6種を指す。
 平成10年から新設された「無店舗型性風俗特殊営業」は出張風俗および通販による無店舗のアダルト・ショップを指す。
 これらの業種について、営業時間、営業地域、宣伝方法などを定めたのがこの法律で、この届け出を出していない店を通称「無許可店」と呼ぶ。
 営業時間を違反していること、営業地域外で営業していること、届け出を出していないことなどは確認が容易なのだが、東京や大阪などでは、長らく無許可店が放置されてきて、平成15年頃に一掃された。
 この法律に各自治体の条例が加わるため、店舗型性風俗店は、新規で営業できる地域は全国にわずか数カ所しかなくなっている。
 また、平成17年の改正時に、既存店も申請し直さなければならなくったため、この際に条件を満たしていなかったために廃業に追い込まれた業者もあり、全国的に店舗から無店舗へと移行しつつある。
 これまでは、店が摘発されるだけで、働いている者たちは参考人として呼ばれるだけだったのだが、無許可店一掃の動きの中で、風営法違反であることを知りながら働いている者たちに幇助罪が適用されて、前科のついたセックスワーカーが続出した。

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no3

 セックスワーカー自身が逮捕されるケースとしては、他に刑法174条「公然わいせつ罪」違反がある。
 AV嬢や雑誌のモデルが公衆の面前で脱いだり、性的な行為に及んで逮捕される例が毎年のように起きている。
 本人たちは演出家やカメラマンに従っているだけだが、強制がない限り、罪は免れない。
 屋外だけでなく、ストリップ劇場のように、すべての客がそれを求めているような場においても適用される。欧米においては、その旨の表示があることなどの条件を満たせば公然わいせつにならない国が多いとされているため、批判も多い。

 これ以外に、店やプロダクションに適用されることがある法律として「職業安定法」(通称「職安法」昭和22年11月30日制定)、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(通称「児童買春法」「児童ポルノ法」「児ポ法」 平成11年5月26日制定)、「児童福祉法」(通称「児福法」昭和22年12月12日制定)などがある。
 また、各自治体の「めいわく防止条例」などによっても宣伝行為、スカウト行為に対する規制がある。
 このうち「児童買春法」は、児童であることを知って買春した客にも適用される。
 また、同法は、「児童ポルノ」の部分で、出版社、AVメーカーにも適用される。
 現在、「児童ポルノ」の所持までを禁止する動きがあるが、これに限らず、性表現、性行動に関する法令は、反対する議員がおらず、圧力団体も存在せず、一般にも反対の声が挙げにくいために、十分な議論を経ずに制定、改正される傾向があり、警察の恣意的な適用を許し、結果、店との癒着を進めるとの指摘もある。[文責 松沢呉一]

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