要友紀子の「世界のセックスワークNews」

ナイジェリア:バウチ州がセックスワーカーたちを牽制

(Daily Trust (ナイジェリア Abuja発 2008年10月29日)の記事から仮訳)

HIVの検査で陽性と出た、ナイジェリアのバウチ州のセックスワーカーたち、まだバウチ州で働いているセックスワーカーたちは、働いたことを反省するか、あるいは、HIVの犠牲者で居続けるか、反省して同じ状況の犠牲者と結婚するかの選択を余儀なくされている。

「HIV/AIDS,結核,ハンセン病,マラリア予防のためのバウチ州の政府機関(BACATMA)」のえらい人スライマン・ムハマッド氏は、10月27日のバウチ州のメディアへの説明会で、「バウチ州のシャーリア委員会(法務省みたいなものか)とコラボして、HIV陽性が出た反省しないセックスワーカーを取り締まる。しかし、反省するセックスワーカーは生計の手段を助ける」と警告した。

最近、バウチ州の政府機関(BACATMA)が二箇所で行ったHIV検査で、30人のセックスワーカーがHIVウイルスを持っていることが確認され、この状況がHIVの広がりを懸念すべき緊急事態であるとされた。バウチ州の政府機関(BACATMA)は、結婚する意志のあるHIV陽性のカップルの支援を保証するという。
BACATMAのスライマン氏は、宗教的な禁止事項が守られない主な原因は、人々がHIVウイルスを広げるような危険な行動をいつまでも続けるからだと思って、バウチ州で現在までに5820人の犠牲者が無料の治療を受けていることを公表した。

また、BACATMAは、可動式のHIV検査とカウンセリングを地方の地域や食品売り場に開設し、人々がそれらのサービスにアクセスできるようになることで、ヘルスケアやサービスの訪問提供が人々に届くことを進めるよう計画している。マラリア、結核などの予防のため、56の治療センターと112のハンセン病センターを設立し、州の20地方に30万個の予防薬剤を配布したり、24万個以上の蚊帳の配布を行なった。HIV感染の拡大を防ぐ目的においては、HIVに感染しているカップルの結婚を79組オーガナイズした。

allafrica.comというサイトからの記事です。
http://allafrica.com/stories/200810290412.html

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(ゆきこのひとこと)
 「HIVに感染した反省しないセックスワーカーを取り締まる」ということは、反省の意志を確認できなかったら逮捕するということになり、これは国際的にも重大な人権問題として発展しそうです。
 日本でも、風営法違反の幇助罪関連で、働く女の子が「もう風営法違反のお店で働きません」というような誓約書を警察に書かされるということが起きているから、ナイジェリア・バウチみたいなやりかたは他の国でも採用されているところがあるのかもしれませんね。
 セックスワークの仕事でHIVに感染したら、香港では労災認定が降りました。だからこれは労災として保障されるべきことなのです。
 ここで、みなさんの中で、「コンドームちゃんと使って仕事しないからHIVに感染しても自業自得なんじゃないの?」とか、「どーせ生でやってたんでしょ」って思った方いませんか?
 ナイジェリアだけでなく、貧しい国で働くセックスワーカーたちは、その日自分や家族が食べるお金が必要だから、そのために、例えば客にお金をちらつかせられて、「いくらあげるから生でやらせろ」って言われたら、そのお金の力に勝てない事情を抱えているということがあるのです。だから、仕方なく危険なサービスをしてしまうという経済的背景があります。
 そこで、バングラデシュのあるセックスワーカー支援グループでは、HIV予防のために、セックスワーカーにお金を貸す銀行を始めました。普通の銀行では、お金を返せる見込みのない人にはお金を貸してくれませんが、このセックスワーカーのための銀行は、HIV予防を目的にしているからお金を貸してくれるのです。このような銀行のおかげで、セックスワーカーたちは、お金を借りることができ、客からお金をやるからと言われても、「生はだめ、コンドームを使うのです!」と言えるようになるのです。
 ナイジェリア・バウチ州も、バングラデシュの例のように、ぜひそういった経済的背景に着目して、HIV予防の壁になっている問題を解決する方向で努力してほしいものです。
 ナイジェリアは、アメリカのように州によって法律や宗教に違いがあるみたいで、ある州はキリスト教が多かったり、ある州ではイスラム教が多かったりするみたいです。それで今回の記事にあるバウチ州のシャーリア委員会というところは、イスラムの法体系に則った法廷か法務省のような機能を持っていると思われ、おそらくイスラム教のえらい人が刑罰に関するいろんな判断を下すのかもしれません。

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プロフィール

要友紀子のプロフィール

セックスワーカーの安全と健康のために活動するグループ・SWASH(Sex Work And Sexual Health)メンバー。
これまで、風俗嬢意識調査や、HIV/STD予防のための講習会、予防パンフレットの配布などを行なってきた。

近年は、日本で働く外国人セックスワーカーの調査とアウトリーチを行ない、移住労働のセックスワーカーの抱える問題にも取り組んでいる。