厚労科研エイズ対策事業について

研究の概要 2009〜2011年度

個別施策層(とくに性風俗に係る人々・移住労働者)のHIV感染予防対策とその介入効果に関する研究(初年度/3ヶ年計画)

本研究の目的は、ターゲット集団のリスク行動の実態と感染への脆弱性の諸要因を把握、介入の実践と評価を踏まえて、HIV対策の「谷間」を埋め、組織的かつ継続的に実践していくことである。

分担研究1「性風俗に係る人々のHIV感染予防・介入手法に関する研究」(大阪府立大学人間社会学部准教授・東優子): 初年度は、女性SWにおける職業上の健康と安全に関する実態とニーズを把握することを目的として、①STD検査・治療を目的として医療施設を訪れるSW女性を対象とする質問紙調査、②外国人SW面接調査、③インターネット調査を実施する。また、接近困難層のコミュニケーション・プラットフォームとしてウェブサイトを運営し、有効な情報の環流ルートの検討を行う。次年度以降、先行研究で明らかにされなかった男性顧客による「無店舗型」や「非本番型」の利用実態(意識・行動)調査、マネージャー・経営者を対象とするSWの安全対策に関する実態・ニーズ調査を行い、有効な介入手法について総合的に検討する。

分担研究2「生活困難を抱える女子の性の健康に関する研究」(大阪教育大学学校危機メンタルサポートセンター准教授・野坂祐子): 児童自立支援施設入所女子(8割以上が性虐待や性暴力など何らかの性的搾取の経験をもつといわれる)に対し、実態とニーズ把握を目的とする自記式質問紙調査を実施する。次年度以降は、初年度調査の結果を踏まえた危機介入プログラム(情報提供および心理教育など)を実践し、その効果を評価する。最終年度には、評価に基づく修正版・介入プログラム実施の展開、および当該集団における性の健康の回復・維持・向上を目的とする職員用ガイドラインを策定する。

分担研究3「関西圏の外国人(とくにSW)のHIV感染予防と介入に関する研究」(関西学院大学神学部准教授・榎本てる子): 滞日外国人コミュニティに埋没するSWの性の健康支援として、NPO法人CHARMによる「移動診療所」(仮称)を通した介入とその効果評価を行い、当事者参加型の介入モデルの新機軸を提唱することを最終的な目的とする。初年度は、①コミュニティ開発(カトリック教会におけるリーダー養成・STD勉強会の開催・意識・行動調査、その他ネットワーキング)、②大学などにおける留学生向け介入プログラムの開発と実践、③パイロット版・介入実践(京都市とCHARMの協働による「外国人向け検査キャンペーン」など)を実施する。「移動診療所」の実現のおいては、検査結果後に具体的医療サービスにつなげることが重要なポイントとなることから、言葉の問題、外国人に理解のある医療機関などを発掘すると同時に、保険未加入者の医療費の問題と取り組み必要性があり、全額自己負担の場合の医療費の目安、可能な社会保障制度の利用などを調査し、安心して受診出来る病院の開拓を進めていく。

分担研究4「SWとの協働による予防介入プログラムの開発と普及に関する研究」(京都大学大学院文学研究科助教・青山薫): コミュニティ参加型予防介入プログラムの開発と実践を最終的な目標として、①接近困難層である「性風俗に係る人々」との接点がより確実な保健所・HIV抗体検査諸機関との協働関係の構築、②介入(アウトリーチ)ワーカーとしてのSW養成、を実施する。①について、初年度は実態とニーズ把握を目的とする悉皆調査を実施し、次年度以降のワークショップ(NZ政府策定ガイドラインをモデルとするプログラム実践)につなげる(初年度にパイロットを全国3か所で実施予定)。②については、初年度のネットワーキングを経て、次年度以降の養成プログラム(欧州NGO策定ガイドラインをモデルとするプログラム実践)、派遣事業の全国展開へとつなげていく。

研究代表者 東優子
(大阪府立大学人間社会学部・准教授)

研究の概要 2006〜2008年度

研究班の目的は、「性娯楽施設・産業に係る人々」のリスク行動の実態、感染への脆弱性と社会的諸要因の関連を調査・分析し、当該集団に固有かつ有効なHIV/AIDS対策を提示することにあります。女性セックスワーカーや男性利用者の意識・行動調査の他、「素人/玄人のボーダレス化」に注目し、一般女性の意識・行動調査を実施する他、コミュニティのキーパーソンとのソーシャル・ネットワーキングを通じて、有効な「しかけ」の検討と実践を行っています。本サイトの運営は、この「しかけ」のひとつとして実践されています。

なお、研究成果については、平成18年度報告書、平成19年度報告書が刊行されています。入手希望の方は、このページの最後にある「お問い合わせ」をご参照ください。